日本の住宅は屋根の建築

日本の住宅は屋根の建築でした。


日本のデザイン住宅の外観は屋根によって大きく規制されていました。


日本の屋根は重く、大きい。


これをそのまま三階にまで持ち上げると、バランスは失われる。


美しい瓦面は見えずに、軒裏の構造だけがもろに露出して見える。


三階住宅の外観意匠で一番工夫されねばならないのは屋根であるでしょう。


西洋の場合、屋根は二つにわかれる。


一つは地中海ヨーロッパ。


イタリア、南フランス、スペイン、ギリシアなどに見られる屋根を非常に軽く扱うかたちです。


年間降雨量はわたしたちの国の三分の一であるから、軽くすませることができるわけであるが、素焼の赤瓦で、勾配は三寸勾配ほどです。

セットバックの効果を高める為に

セットバックの効果をより高めるためには、セットバック協定が結ばれることが望ましい。


西ドイツでは、都市計画の中でセットバックがうたわれています。


米国は州によって異なるが、条例で強制しているどころが多い。


わたしたちの国でも都市計画の中に制度として設けられているがあまり活用されていない。


しかし町の美観、風致を求める声が高まるにつれて、検討するところが増加しています。


セットバックの足並みが揃うことによって、狭い道路は広びうとしたものになり、路面に日が当たり、植木の成育は目立ってよくなり、通りの景観は見違えるようによくなります。


それは結局、通りに面して高級住宅に住む人びとに高い居住性を保証することとして返ってくることになるのです。

セットバック

セットバックというのは、二階または三階を一階より後退させる、あるいは建物全体を道路から後退させるという建て方であるが、その効果は非常に大きい。


セットバックによって壁のもつ圧迫感は柔らげられます。


セットバックするとテラス状のスペースが確保されるがそこに緑を配するというような工夫がなされると、一層ソフトになります。


通りからは三階部分をほとんど見えないようにすることもできます。


デザイン的にうまいセットバックのさせ方として、三階そのものを屋根の中に入れ込むという手法があります。


建物全体としては、やや大きな二階デザイナーズ住宅と変わらないものとなります。

「たて長」デザイン

「たて長」デザインの創造を説いたが、いつもたて長のデザインで押しまくってよいと言うものでもない。


三階デザイン住宅の高さは、今日の都市の現状を考えると決して高い建物ということにはならないのであるが、道路幅員の狭い、伝統的な町並みの中に割り込むとなると、やはり異物という感じを与えるという場合が少なからずある。


周囲の環境に対して自己を主張するというのが、西洋のデザイン思想の根底にあるが、わたしたちの国ではいかに必要以上に目立たないものとし、周辺へのショックを少なくするかが、家づくりするものの心得でした。


最近で"はこうした心得は後退してしまったが、都市の中でうまく住むためには、見直されてしかるべきです。


中庭の環境条件

一般的に中庭高級住宅は、建ぺい率の残りを分散させずに敷地の中ほどに集め、それを取り囲んで住宅を配するというものです。


そのとき中庭の環境条件は、住宅の階高によって著しく左右されます。


階高が低ければそれだけ有利になることは言うまでもありません。


それでは、三階建の階高にストレートに中庭をもち込むと、どのような中庭になるのでしょうか。


三階建ともなれば階高は低くて8メートル前後。


この深さに対して有効な採光を得ようとするならば、中庭の幅はゆうに10メートルを越えてしまい現実性は低い。


それでは、光を積極的にとり入れる開かれた中庭をつくり出すにはどうしたらよいでしょうか。


そのためには三階住宅のとりわけ断面計画において、中庭空間の魅力を発揮しうる中庭の形状を考える必要があります。

中庭の新たな展開

三階デザイナーズ住宅に中庭形式を導入することはできるでしょうか。


そのための前提として、まず敷地面積とその形に一定の条件が求められます。


ペンシル型のようなノッポ住宅しか建てられないきわめて狭い敷地では、当然中庭をとる余裕はない。


次に敷地に中庭をはさみ込むことのできるある程度の幅があることが必要です。


たとえば間口は少し狭くとも奥行きが深いような敷地では、コの字型に囲まれた中庭をもつ三階住宅を建てる条件が整う。


このように中庭形式は、すべての敷地に対してオールマイティーではないものの、一定の敷地条件がそろえば、良好で落ち着いた屋外空間をつくり出す中庭型の三階住宅を検討することができます。

新しい型の住居

若干オーバーな表現を許して頂けるなら、三階住宅は、新しい型の住居、平家もしくぱ二階家という在来型の住宅とも、マンションや公団アパートのような中高層集合デザイン住宅とも異なる「新しい型の住居」なのです。


とは言え「新しい型の住宅」イコール三階住宅ということになるのではない。


三階住宅がもつ空間的特性=可能性をうまく引き出しえて、はじめて新しい型の住居たりうるのです。


したがって、新しい型の魅力ある住宅たりうるためには、三階住宅の空間的特性を十分に理解しておくことが必要になります。

四つの特性


都市の中の限られた敷地では、住居をより広くしたい場合上に積みあげてゆくほかない。


三世代が一緒に住める住居としたいというような場合も、仕事場のある住居としたいというような場合も、店舗つきの住居にしたいというような場合も、マイカーをきちんと格納できる住居にしたいというような場合も、上に積みあげてゆくほかない。


三階住宅は上述したような要求を実現させる最も現実的で実際的な方法です。


とくに市街地の中で、後述するような共同建て替えといった方法がとれない場合には、三階住宅を考えることになります。


だが三階住宅のもつ可能性は、ただ単に「広さを増やす」というようなことだけではない。


三階住宅はいろんな新しい可能性をもつ高級住宅です。

都心部市街地に住む

下町からの撤退を考えていた人びとや企業の中にも、考え直すところがあらわれはじめた。


とくに、都心部市街地(下町)に住むという伝統のあった大都市、米国で言えばシカゴ、ワシントン、フィラデルフィアでは中産階級の人びとの都心へのUターンが10年ほど前からはっきりとした形となってあらわれています。


たとえばフィラデルフィアのダウンタウンの人口は15年前の3万8千人から10年後には4万4千人に増え、しかも所帯当たり所得は中位値で5600ドルから1万3300ドルに急上昇したといいます。


そしてこれだけの変化で、高級レストランが15年前の2軒から15軒にまで増えています。


こうした傾向はもともと昔から下町住まいの伝統をもつヨーロッパではより明確なものとなっています。


コペンハーゲンの最も古い下町クリスチャンハーベンは、いまでは芸術家、自由業、若者の最も人気のある町となっており、古い倉庫はデザイナーズ住宅に改造されています。


歩行者の町として知られているストロイエの一帯も郊外からのUターン組を受け入れるための中古住宅の改造が進められています。


郊外の庭つき一戸建住宅をという傾向はまだまだ続くであろうが、都心部に住みたいという人びとの数もまた確実に上昇しているのです。

お初です。

三階住宅はなぜ発達しなかったのか。


ヨーロッパでは至極当たり前のことになっている三階住宅が(そして四階、五階住宅も)日本ではどうして発達しなかったのでしょうか。


誰しも一番先に考えることは、地震が多いためではないか、ということでしょう。


しかし、それは三階住宅の発達とほとんど関係がない、といってよいでしょう。


地震が多いから三階が建てられないというほど、三階に構造力学上の難問があるわけではない。


わが国のすぐれた職人技術、それは経験主義の技術で近代的科学技術としての力学などを欠いたものであったが、極めて優秀な様ざまな工法を開発して自己のものとしており、三階デザイン住宅をという社会的要請があれば、江戸時代においてもそれに対応できる工法を案出したであろうことは、十分考えられることです。